
 九州 佐賀の鍋島藩には聞書「葉隠(はがくれ)」が伝わっています。
    
     この「葉隠 巻の五」に、当妙念寺の建立の由来がくわしく
    書かれています。                             
    
    「葉隠」は、鍋島藩二代藩主、鍋島光茂の側近 山本常朝の話を聞き、
    書き残されたもので、武士道を伝えるものとして藩士の間に密かに  
    読み継がれてきました。                            
     
     第二次世界大戦の時、これが全国に広がり、戦意高揚のための教えと
    して誤解されてしまいましたが、成立の意味は別のところにありました。
    
    1700年(元禄十二年)、二代藩主 鍋島光茂が世を去りました。
    九歳の時から三十数年にわたって、光茂の側に仕えた山本常朝は、
    忠義の者として主君の跡を追って、切腹するつもりでいましたが、
    藩主光茂は、幕府よりも早く、日本で最初の殉死禁止令を
    出しており、跡を追うことが許されませんでした。
     そこで、髪をおろして、ひとり山にこもり隠遁の生活を始めました。                     
    
    十年後、草庵に一人の藩士、田代陣基が訪れ、鍋島家の成り立ちや、
    歴代藩主の逸話、武士としての心得など、七年間に渡り聞き取り
    それを書き留めたものが「聞書・葉隠」であります。
    実に三百四十三項目からなりたっています。
    
    「武士道というは、死ぬ事ことと見つけたり」                 
    「恋の極致は忍ぶ恋である。 恋ひ死なん のちの煙にそれと知れ 
     つひにもらさぬ 中の思ひは」等がよく知られている。
    
     
    この葉隠 巻きの五には 妙念寺の成立の由来、光茂侯と妙念寺の
    関係、山号、寺号のいきさつなどが、くわしく書かれています。
    
     ( 尚、忠臣蔵の討ち入りが 1702年のこと、平和な時代の武士が
      どう生きるべきか、思案したのが ここにいう 武士道と思います。) 
        
    
    
    
    
    さが 続古文書 こぼれ話
    
     佐賀新聞・平成13年 1月26日(金)10面 まちむらの話題
    
    花かつおで育てた若君
        佐賀の春日の局
    
     初代藩主鍋島勝茂をついで、次期藩主となるべき嫡男忠直は
    天然痘のため二十三歳の若さで亡くなりました。当時天然痘は多くの人が
    命を落とす恐ろしい病気でした。
     忠直にはまだ幼い子の翁介(おうすけ=後の二代藩主光茂)がいましたが、
    勝茂は次の藩主として忠直の弟直澄(なおずみ=のちの蓮池藩祖)を考えて
    いました。
    当時四歳の翁介を次代の藩主にすることは考えられなかったのでしょう。
    
     そんなある日のこと、江戸の佐賀藩邸に幕府の老中が招かれてやって
    きました。このとき勝茂は次の藩主として直澄のことを話そうと予定していました。
    そのときとつぜん翁介の養育係の乳母小倉が勝茂の許可も受けず、
    幼い翁介を抱いてあらわれます。そして「忠直の忘れ形見です』と翁介を
    老中たちに紹介しました。
    小城藩主の鍋島元茂と打ち合わせのうえのことでしたが、藩主勝茂を無視した
    手前、小倉の命をかけた行動だったのです。
    「このような御子があるとは知らなかった、よいお世継ぎがおありだ」という
    老中の言葉で翁介が次期藩主になるべき存在であることが、幕府に認め
    られたことになったわけです。
    
     小倉は翁介の養育に心血を注ぎました。食事には、無事育つよう干物の
    お汁と花かつおばかりを食べさせ、外出のときも花かつおを持っていき、
    取り出して差し上げたということが、『佐賀県近代資料』第三巻に出てきます。
    
     小倉は翁介が藩主になるのを見届けることなく亡くなりますが、小倉の
    働きがなければ、二代藩主は直澄がなっていたでしょう。あたかも将軍家光の
    乳母春日局に比すべき女性でした。(県立図書館近世資料編纂室)
    
    
    
    
         

 
    
    
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