第443回 音楽療法

  
平成13年 7月19日〜

妙念寺電話サービスお電話有り難うございます。
介護保険がスタートして一年になりますが、障害のある人を、
音楽で治療する、「音楽療法」というのをご存じですか。


「西本願寺ビハーラ佐賀」という組織では、定期的に勉強会を
開いていますが、この音楽療法の専門家にお話を聞きました。


講師としては、佐賀県立病院好生館のホスピスの佐藤先生や
名誉館長、佐賀大学の田中健次先生、それにジャズピアニストの
野田正純(のだまさずみ)先生です。



 痴呆症などのお年寄りの治療として、お医者さんとの診察と
同時に、若き日の思い出の音楽等を演奏すると、それまで
失われていた記憶がよみがえったり、表情が変わったり
予想もしない反応が返って来ることがあるといいます。

それをきっかけに、閉ざされ通じなかった関係が取り戻されて、
介護や治療がうまくいくことがあるといいます。


どんな音楽かといえば、「春の小川」や「ふるさと」、「桜さくら」
などの童謡、「蛍の光」や「仰げば尊し」「紀元節の歌」など
行事に関わる歌、そして日ごろ口ずさんでいたであろう民謡や
歌謡曲を、お医者さんとの会話に会わせて演奏するのだそうです。



そうすると、言葉をあまり発していなかった人が、突然歌いだし、
若い人にはまるで分からない、紀元節の歌などを3番の歌詞まで
完全に歌い切ることもあるのだそうです。


 こうした一人一人、個人に対する治療と共に、一つの曲を
合奏するために練習する集団治療もあるようです。

それぞれの障害の程度によって、自分の楽器をきめ、何度も
何カ月も練習して、やがてみんなで発表会を開くことで、
すばらしい効果があるといいます。


このお話を聞きながら、感じました。
子供のころから、さまざまな音楽に関わって生きて来たのでしょうが、
その思い出の音楽を聴くことで、過去の生活やさまざまな感動を
思いだし、生きていく力を与えられるのだと思います。


 ところで浄土真宗では、もう何百年もの間、この音楽療法と
同じことを、繰り返して実践していたのだと感じました。


朝晩のお正信偈のおつとめ、南无阿弥陀仏のお念仏、これは
音楽と同じように、心に響き心に残る音楽であり、言葉です。


若い日から繰り返し繰り返し称え、繰り返し聞くことで、生きる力と
喜びを与えられていたのだと思います。


いつも見守られ、支えられ、一緒になって南无阿弥陀仏の
お念仏を称える、周りの人びととともに阿弥陀様も、いつも
いっしょに、ここにいていただくことを味わい生活する。


これはもう最先端の治療法、音楽療法そのものだと思います。

どうぞ、お念仏の生活で、力強い生きがいのある毎日を
お送りたいものです。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、7月26日に新しい内容に変わります。