第599回 お願いします

 平成16年 7月15日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

亡くなられた方の命日に、毎月お参りする「月忌」をいたしますが、
先日の朝、伺った家でお嬢さんが玄関に出迎えていただきました。


「おはようございます」と、元気に挨拶をされ、気持ちのよい20歳前後の
お嬢さんです。ところが、「お願いします」といって居間の方にさがり、
大きな声で「わたし、出掛けるね」と、お祖母ちゃんに挨拶して、
出て行かれました。


 若いのに感心なお嬢さんと思っていましたが、まてよ、勤行というのは、
誰のためのものなのだろうか。


本当は、可愛いお孫さんやお子さんのために、聞いてほしいものでは
ないかと、感じはじめました。


電気屋さんが来て、電気製品を据え付けるように、水道屋さんが来て、
壊れた水道管を修理するように、「お願いします」と迎え入れて、あとは
専門家にまかせておけば良いというのではなく、本当は、子供や孫に
聞いてほしいのが、亡くなられた先輩たちの願いであろうと思えます。


お仏壇に向かって、亡くなった先祖に対してお経を読むのではなく、
生きている人に聞いてほしいのがお釈迦さまの教えであり、親鸞聖人が
勧めていただく、お念仏の教えです。


厳しい修行をすることも出来ない、自分の力でさとりも開くことの出来ない
私たちに、阿弥陀如来は「南无阿弥陀仏」の名号を与えて、生きている間に
仏の仲間にし、命終わると同時に、お浄土に生まれさせ、阿弥陀さまと
同じさとりを開かせる。


そのさとりの内容の一部は、お釈迦さまが二千五百年前に説かれて、
今、お経として伝えられています。


その教えの最も重要な部分を、親鸞聖人は分かりやすく私たちに
伝えていただいたのです。ですから、亡くなられた方を貴いご縁として、
先輩がさとられた内容を、聞かせて頂くこと、これが法事であったり、
月忌というものだと思います。


ただそのお経も漢文で書かれていますので、解説が必要です。

それが、親鸞聖人の正信偈であり、ご和讚であり、蓮如上人の
ご文章であり、お説教を聴聞することであろうと思います。


 近ごろ、電気製品を購入してつくづく思います。解説書をちゃんと
見なければ、どこをどうさわればよいのか、どうすれば何ができるのか
さっぱり分かりません。


自分の力でその解説書を読み取ることが出来る人もありましょうが、
まずは基本的な操作の方法、注意点などを聞いてから、使い始めた方が、
機能を充分に使いこなせます。


忙しい毎日でしょうが、せっかくのご縁、ご一緒に勤行して、お話を
聞かせて頂き、人間という複雑なものの特徴や、その機能が書かれて
いる解説書の内容を聞かせていただき、この限られた人生を、
与えられている能力を十分に発見し、開発し、せい一杯に
活躍したいものです。


お聴聞させていただきお念仏の生活を始めてみると、私に今出来ること、
私がやるべきことが見えて来るのだと思います。


どうか、ご一緒にお勤めをしたいもの、お寺の法座で
お会いしたいものと思います。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
次回は、7月22日に新しい内容に変わります。