主題  地域教材の生かし方の工夫

    「選択社会 〜製作・体験・実習〜」

 






 

 

*はじめに

 本校(東脊振村立東脊振中学校)は、平成7〜8年度に文部省指定を受け、『自ら学びともに伸び合う教育の実践』を研究主題として、国語科を中心に全教科にわたり研究に取り組みました。

 

 

.教材研究の視点

 

(1)興味を持たせることができる体験、実習をさせたい。

 

(2)地域教材資料の利用。身近な教材資料の利用。

 

(3)普段の授業ではなかなか体験できないことを体験させたい。

 

(4)できるだけ、生徒の自主的な活動に任せる。教師は指導者ではなく、支援者になる。

 

(5)発想を自由に。

 

 

.年間指導(支援)計画  

  

第3学年 選択T「社会」学習支援計画

  

WS名「村を知ろう」    

 学 習 の 流 れ    学  習  活  動 自ら学びともに伸び合うための支援
4月

5月
 
オリエンテーション ・1年間の活動のあらましを知る。
 
勾玉






篆刻印



 
・『勾玉』について調べる。
・『高臘石』を使って、作業に取り組む。
・『勾玉』についてのまとめをする。
 
・個人で『勾玉』について調べる。
・作業だけに終わらず、勾玉に興味を持たせ  る。
・作業には個人差があるので、援助し合う。
・製作の手順や注意点をまとめる。・完成度ではなく、取り組んでいる姿をほめる。

6月
 
7月
 ・
8月
 
・『篆刻』について調べる。
・篆刻印を作る。
 
・班で『篆刻』について調べる。
・自分の文字を調べ、製作する。
・『金印』の製作に取り組ませる。
・完成度ではなく、取り組んでいる姿をほめ  る。
9月

 
村を知ろう



土器の復元








発掘体験



古代の食事を作ろう





火おこし











埴輪、土器を作ろう



1年間をまとめよう
 
・村内の遺跡や文化財を知る。 ・村内の遺跡について、講師の方の話を聞く。
・郷土の歴史に興味を持たせる。
・グループで『土器の復元』に挑戦 する。
 @注記
 Aパズル
 B接着
 
・村教育委員会文化財課の方の話を聞き、 お互い協力して、作業に取り組むようにす る。
・作業上の注意を支持する。
・専門家の助言に従うように指導す る。
・他グループの苦労した点や工夫した点を聞 き、自グループの作業に生かす。


10




 

11


12
月 
・村内の遺跡で発掘を体験する。


 
・作業員の方と一緒に発掘に取り組む。
・村内の遺跡に親しみ、郷土の歴史に興味 を持つ。
・グループで石焼き料理を作る。
 @料理の種類を調べる。
 A材料を調べる。
 B調理して試食する。
 *インターネットを利用する。
・村内出土の石器を使い、グループ で協力 して、石焼きで料理を作る。 

1月








 
・『火おこし』の方法について調べる。
・『火おこし』に挑戦する。
 
・グループ毎に、『火おこし』の方法について 調べ、発表する。
・個人(グループ)で道具を使って、挑戦する。
・できればいろいろな方法に挑戦する。
・他グループの苦労した点や工夫した点を聞 き、自グループの作業、実験に生かす。
・失敗しても、それが体験という面で大切だ という意識を持たせる。
・古代人の苦労を知る。
2・3

 
・『埴輪』の種類や役割について調べる。
・『弥生土器』について調べる。
・図書室や教科書、インターネットを使ってみ る。
 
・1年間を振り返る。  ・1年間を振り返り、足跡を残す。 

 

.実際の授業で

 

1.勾玉製作

  ・高蝋石(縦2p 横2p 長さ7p のものを2人で分割使用。値段は200円です。)

  ・順序

   @展開図に下書きをする。

   Aカーボン紙を使って石に写す。

   B削る。

   Cペーパーで磨く。

   D水で磨く。

   E錐で穴をほがし糸を通して完成。                        

  ・完成した生徒には、プリント(B5)に「完成までのあゆみ」書いてもらいました。

 

 

2.篆刻印製作

  ・高蝋石(上記の物を1人1本使用)

  ・順序

   @付録で文字を探す。

   A紙に下書きをする。

   Bカーボン紙を使って石に写す。

   C彫刻刀で彫る。

   D朱肉でうってみる。

  ・作り方は、付録に付いてくる説明書に書いてあるので、これを参考にする良い。 

  ・勾玉と同じく、完成した生徒には、プリント(B5)に「完成までのあゆみ」書いてもらいました。


3.村内遺跡(文化財)を知ろう

  ・村教育委員会文化財担当職員派遣要請。

  ・地域の人材活用。

  ・村のパンフレットや遺物を使って説明してもらいました。


4.土器復元

  ・村教育委員会文化財担当職員及び作業員2〜3名派遣要請

  ・グループ作業(4〜5人程度)。

【指導案】

 第3学年 選択教科「社会」学習指導(支援)案

                             日 時 平成8年10月4日

                             生 徒 受講生徒(男子15名 女子5名)

                             場 所 3−A 教室

                             支援者 教諭 

                             協 力 東脊振村教育委員会文化財課

                                 係長 

                                    他作業員3名

1.WS(ワークショップ)名

  『村を知ろう 〜製作・体験・実習〜

 

2.WS設定の趣旨

(1)WSについて

   このWSは、時間や用具の関係等で、必修社会科の授業では実施しにくい体験的、製作的な内容を、できるだけ全員に体験、 製作させるために設定した。また当村は遺跡の宝庫で、近くには吉野ヶ里遺跡もあり、このような史跡を通して、地元の歴史に興 味を持ち、そして知ることはとても大切なことと思われる。

(2)生徒の特性

  男女とも製作に関して、熱心に、楽しく取り組んでいる。難しい、やりにくい作業ではお互いが協力したり助け合ったりしながら  作業を行うことができる。

(3)学習活動について

  年間を通して、一人及びグループの作業、製作活動が中心になっている。その活動を通じて、古代の人の気持ちや苦労を少し でも体験させるようにしている。また、できるだけ実物・本物に触れさせる機会を多く持たせ、文化財を大切にする気持ちを育てたいと思っている。

 

3.WSの指導目標

   ・村の歴史や文化財に興味を持ち、それらを大切にする心を養う。

   ・協力して作業に取り組む。

 

4.活動計画

 ・オリエンテーション      …………1時間

 ・勾玉づくり          …………5時間

 ・篆刻印作り          …………4時間

 ・村内文化財、遺跡を知ろう   …………1時間

 ・土器の復元          …………3時間(本時3/3)

 ・古代の食事を知ろう      …………4時間

 ・発掘体験           …………1時間(昼休みも含む)

 ・火を作ろう          …………3時間

 ・土器、埴輪を作ろう      …………4時間

 ・1年間の活動をまとめよう   …………2時間

 

5.本時の活動 〜土器の復元〜

 ・前時までを参考にし、接着に取り組む。

 ・グループ内で協力して作業する。

 

6.学習指導過程


 

 学 習 内 容

 自ら学びともに伸び合う手だて

   教 師 の 支 援 

導入
10




 




 




 

展開
30分




 




 




 

まとめ
10分
 






 






 






 

                                                

7.評価の観点

 ・協力して作業ができたか。

 ・興味を持って活動できたか。


 

5.遺跡発掘体験

 ・村教育委員会文化財担当職員及び作業員。

 ・地元のおばさんたちと一緒に作業するので、地域の人との交流にもなっている。

 ・職場体験の一環。

 

6.火おこし

 ・道具から作る場合。

 ・キットを使用する場合(1セット¥1200)。

 

7.古代の料理に挑戦

  ・家庭科教諭とのTT(毎月の校内研究授業として)

【指導案】

 第3学年 選択教科「社会」学習指導(支援)案 

                            日 時 平成9年12月16日(火)D

                            生 徒 受講生徒(男子10名 女子6名)

                            場 所 調理室

                            支援者 教諭  

                                 教諭   

1.WS(ワークショップ)名

  『村を知ろう』

 

2.WS設定の趣旨

(1)〜(3)上記を参考に

(3)学習活動について

  年間を通して、一人ひとり及びグループの作業、製作活動が中心になっている。その活動を通じて、古代の人の気持ちや苦労 を少しでも体験させるようにしている。また、できるだけ実物・本物に触れさせる機会を多く持たせ、文化財を大切にする気持ちを育てたいと思っている。
今回の授業では、村内の遺跡から発掘された当時の石を使い、家庭科との連携により古代の食事を作り、それを試食し、その当時の人々がどんなもの(材料・味など)を食べていたのか、また食事を作る苦労を体験させるようにしている。
 
3.WSの指導目標

   ・村の歴史や文化財に興味を持ち、それらを大切にする心を養う。

   ・協力して作業に取り組む。

   ・古代の人の苦労を感じる。

4.活動計画

 ・古代の食事を知ろう      …………4時間(本時4/4 調理、試食)

 (他は上記を参考に)

5.本時の活動 〜古代の食事を作ろう〜

 ・古代の食事を作り、試食する。

 ・現代のものと比較する。

6.学習指導過程

  学 習 内 容 社会科の観点から 家庭科の観点から 留 意 点
導入
10
・赤米について知る。

・古代の食事についてイメージする。
・「赤米」を配布する。

・自分で調べたことを元に確認 する。




 




 


展  開


30分

 
・調理

・作業開始

・試食

・感想
 
・古代人の食生活を想像しな がら、調理に取り組む。

・現代と古代の調理法の違い に気づかせる。

・双方の材料、味、調理法な  どを比較、検討し、感想を記 入する。 
・衛生面の注意と確認(身支度と手洗い等)

・現代のと古代のクレープ?を 比較しながら試食をさせる。

・双方の材料などを比較、検  討し、感想を記入する。

 
・火の取り扱いには 十分注意させる。

・机間巡視


・単に味についてだけの感想ではく、当時の生活を想像しながら書かせる。

まとめ
10分
 
・後かたづけ ・各班で協力して行う。

 

7.評価の観点

 ・協力して作業ができたか。

 ・古代と現代の食事の比較ができたか。

 ・興味を持って活動できたか。                        


 

8.村内調査

(半期で実施。もう一人の社会科教師が行っています。)

 ・村紹介のビデオを視聴し、村紹介のパンフレットなどを参考にし、郷土に一つテーマを選び、それについて調べる。

 ・文化祭で展示。

 

9.土器、埴輪製作


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