「文化施設の管理と技術」

はじめに

 大正7年(1918年)に開館した横浜市開港記念館が、公的な資料の文化施設
の始まりではないかと 私は考えています。

 それから80年が経過して、文化施設は、推定2,500館を数え、わが国は文化
施設大国となりました。
 しかし、文化施設の周辺では、いろいろな課題が未解決で、将来の課題として
山積みしています。
 この課題の解決は、文化施設の将来にとって大変重要な問題を多く含んでいま
す。 
 ここで述べている事柄は、あまりにも基本的なことなので、かえって見過ごされる
ままに、日頃から論議されることが少ないと思います。
 文化施設の多くの業務は、毎日の業務が単調であるばかりでなく、文化創造の
活動が正しく評価されていません。
 また、その業務はプロパーといわれる第三セクターの職員や、業者(委託職員)
といわれながら芸術的活動を支えている技術者などが、一体となって文化施設を
支えているのが現状です。
 いま、施設建設の時の基本的な理念に立ち返って、ホール文化を地域の人たち
と共に考え、わが国の文化施設がより住民のために、施設を利用する人々のため
に、舞台芸術創造の場の出発点となるよう、問題点を提起しながら文化施設を検証
してみることにします。
 本書は、九州地区照明・音響・舞台事業者協会の委嘱で、拙著「文化ホールの危
機管理」から、一部を加筆、再編集したものです。
                                            著者  

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